めっき の記号  

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    めっき の記号について紹介します。これであなたもめっきのことがよく分かるはずです。
  ここでは、主にJISで述べている 亜鉛めっき で使われる記号について紹介します。なお、めっき の記号については社内規格等で定めている会社の場合は一般的なJIS記号と合わない場合がありますので、その会社の社内規格をお調べください。
 1997.2.19.
         
         
    旧JISの めっき の記号 (1)最も多く用いられています。たとえば,亜鉛めっき で最もよく利用される処理のMFZn8Cという記号を例にとって、この記号の意味を紹介します。
    MFZn8C    
         
   
・・これは「めっき」 を表す記号です。
・・これは「素地」の種類をあらわします。
は鉄 です。
Zn
は亜鉛 およびその合金、
は銅 およびその合金、
はアルミ およびその合金、
はマグネシウム およびその合金、
はプラスティックというふうに表わします。 亜鉛めっき の場合はほとんどが多いですね。
Zn
・・これは「めっきの種類」をあらわします。この場合は亜鉛 ですね。

Zn-Fe、Zn-Niとかは、亜鉛・鉄、亜鉛・ニッケル の合金めっきを表わします。バブル時までにはよく用いられた、優れた耐食性を持つめっきです。しかし、通常の 亜鉛めっき より製造コストが上昇します。その後の円高以降価格の安い通常の 亜鉛めっき にVA提案等により仕様が変更になり通常の 亜鉛めっき に変わったものが多く、残念ながら限定的にしか用いられなくなりました。

亜鉛 は金属としては値段(キロ200円くらい)が安く、また自己犠牲的防食作用があり、防錆性能に優れ、コストも安い為、一般産業用機器、民生機器等に多量に用いられています。もっとも、人目につかないところに用いられている為一番身近でありながら最も知られていないめっきではないでしょうか。

蛇足ながら、私は 亜鉛めっき の縁の下的役割がとても好きです。


・・これは「めっきの等級(厚さ)」をあらわします。普通の数字の場合はその数字がめっき の厚みを指定する場合が多いです。

ですから、8の場合は8ミクロン以上のめっき厚を要求しています。3ミクロン以上、5ミクロン以上、8ミクロン以上、13ミクロン以上というのがよく使われます。J、K、Lという記号を使う事もあります。それぞれ3、5、8ミクロン以上を表わします。

ところで、指先の神経の鋭い人なら8ミクロン(1ミリの1000分の8の厚み)の段差を爪で感じとれます。めっき厚 は場所により異なるため、どこの場所のめっき厚 を基準にするか当事者間の協議が大切です。


・・「後処理」を表わす記号です。この場合はクロメートですね。

一般的に亜鉛めっき は後処理なしでは用いませんので何らかの記号がつきます。

は黒クロメート、
はユニクロ、
はオリーブクロメートを表わしている場合が多いです。

ところで上記の記号がついていないときがあります。このときはユニクロの場合が多いですね。しかし、まれに後処理無しの要求を指定している場合もあります。

クロム酸処理と書いてある場合もあります。この場合はほとんどクロメートですね。なかには、BLACKのBを表わすときもあります。ともかくよく分からない場合は発注先に確かめた方がいいですね。

         
         
         
    Ep−Fe/Zn8/CM2
   
    JIS H 8610−1991, 上記の(1)は以前のJIS記号ですが、今は下のような記号を使います。ただし、これは今のところまだあまり使われていません。しかし、これから徐々にこれに変わっていくかもしれませんね。
         
   
Ep これは、めっきを表わす記号です。
Fe/Zn 旧JISでのZnのことですね。もちろんFeは生地が鉄であることを、Znは めっき の種類が 亜鉛めっき であることをを表わしています。
これはめっき厚 を表わします。この場合は8ミクロンです。
CM2
めっき後の後処理の種類を表わします。
JISでは無記号はめっきのみで後処理なし、CM−1はユニクロ、CM−2はクロメートを表わします。
その他 CM1,CM2のあとに、HBという記号を付けるときがあります。

これは水素除去のベーキング処理を要求しています。

一般的には180℃を180分保持とかの条件があります。これは主にSK材とか、線ばね材とかの脆性破壊を防ぐための処理です。