現在問題になっている環境問題のいくつかを説明します。

◎環境問題の整理

現象 成因(物質) 発生する状況・被害の分布
地球温暖化※1 温室効果ガス(二酸化炭素など) 海面上昇で低地国(オランダ・モルディブなど)に被害
酸性雨 (窒素酸化物・硫黄酸化物など)
大気中で化学反応→硝酸・硫酸に変化
森林(ドイツ:シュバルツバルトなど)枯死
湖沼の酸性化・建造物腐食
砂漠化 過放牧・薪炭材採取・不適切な灌漑 サハラ砂漠南縁(サヘル地帯)など
カザフスタンのアラル海は面積が縮小
熱帯林破壊 焼畑・木材輸出 アマゾン・東南アジア・アフリカギニア湾沿岸
水質汚染 産業・家庭排水
産業廃棄物
タンカーの事故による原油流出
富栄養化による赤潮の発生(養殖業などに影響)
オゾン層破壊※2 (フロンガス)
スプレー缶やエアコン・冷蔵庫の処分時に放出
紫外線が増加→皮膚ガン・白内障
ダイオキシン
(環境ホルモン)
廃棄物の低温焼却時に発生 動物のホルモン作用に影響
ガン患者の増加
放射能汚染 原子力発電施設の事故
1973:スリーマイル島原発事故
1986:チェルノブイリ原発事故
白血病など
※1:1997年に行われた地球温暖化防止国際会議(京都会議)で各国の二酸化炭素排出量の削減目標が決められた。
※2:モントリオール議定書(1987・1990改正)で特定フロンの使用削減、全廃(2000年まで)が決められた。

◎環境保護活動

事項 補説
1971 ラムサール条約採択 「特に水鳥の生育地として国際的に重要な湿地に関する条約」
日本では釧路湿原などが登録されている
1972 第1回国連環境会議 『人間環境宣言』→「宇宙船地球号」「Only One Earth」
国連環境計画(UNEP)発足
1972 経済協力開発機構(OECD) 汚染者負担の原則
1972 世界遺産条約採択 「世界の文化遺産および自然遺産の保護に関する条約」
日本では屋久島・白神山地などが登録
1973 ワシントン条約採択 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」
1974 経済協力開発機構(OECD) 「環境アセスメント」の立法化を勧告
1987 国連環境と開発に関する世界委員会 『持続可能な開発』の提唱
1987 モントリオール議定書採択 フロン生産を削減
1989 バーゼル条約採択 「有害廃棄物の越境移動および処分の管理に関するバーゼル条約」
1992 国連環境開発会議(地球サミット) 『リオ宣言』→持続可能な開発の理念を徹底

◎環境問題と南北問題

▽先進国の人間活動で発生する環境問題
消費活動 野生生物への影響
フロンガス多用 オゾン層破壊野生生物への影響
化石燃料多用 酸性雨森林破壊地球温暖化
地球温暖化
砂漠化(洪水干ばつ)
廃棄物 水質汚染野生生物への影響


▽発展途上国の人間活動で発生する環境問題
人口増加 過放牧過耕作砂漠化(洪水干ばつ)
焼畑薪炭材伐採熱帯林破壊砂漠化温暖化野生生物への影響
経済水準の上昇 公害の発生水質汚濁大気汚染