これは、MIAの語り部であり、実践者である今井清二郎氏が、富岡の青年会議所のメンバーにMIAについての熱き思いをメールでつづったメッセージです。

last update at
   

MIA十訓

     
  21世紀のものの見方考え方  
     
  MIA言葉のくすり  
     
  MIA通信  
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
     
 MIA通信 3     3     
 

ムーチョ小野
もうしばらくムーチョのことを話しましょう。

小野正孝先輩をなぜムーチョと呼ぶか、本の中にも若干触れていますが、ラテン音楽の”ベッサム・ムーチョ”の歌にあります。
小野さんは、大学でスペイン語を専攻しました。英語力はほどほどでしたが、スペイン語はかなり堪能でした。
ほどほどとはいうものの、その英語力もなかなかのものでした。
SDJ(サクセス・ダイナミック・ジャパン、小野さんが作ったSMIの販売会社)の副社長大野氏が言っていたことですが、『うちの社長は、英語は片言なのに、外人と話をしていると、私よりも話がはずみ、内容もよく理解している。なにより相手にも言いたいことがよく伝わっているんです。これには脱帽しますね。』と、言っていたくらいです。やはり、言葉より人間性や人間力が大事なのでしょうね。

まぁ、それはともかく・・・、スペイン語といえばラテン音楽になります。
ラテンに熱中して当時ラテン音楽の第一人者と言われていた高山正彦氏に師事していた位の専門家となりました。そして、JCでも酔えば必ず歌った”ベッサメ・ムーチョ”が評判になって、ムーチョと言うあだ名がついたのです。
『本名ムーチョ、あだ名を小野正孝と言います』、と自己紹介をしていたほど、自他ともに認めるあだ名でした。

第2回通信で、小野さんの自宅を訪問したことを話しましたが、部屋の中にラテンのLP、SPレコードが書架に縦に並べて2メートルほどありました。
およそ2千枚ほどあると言っていましたが、その中には日本には、ほとんどないものも含まれていて、放送局から借りにくることもあると言っていました。今ではラテン音楽などは流行りませんが、戦後しばらくはかなりの人気があったのです。
私は、このレコードの収集量をみて、圧倒されました。
小野さんは26歳のときから死ぬ直前まで、NHK長野放送局のラテン音楽のディスクジョッキーを15年間にわたって勤め上げました。
やはり、只者ではないんですね。

先ほどSDJの大野副社長の話が出てきましたが、もうひとつ大野氏から聞いた小野さんらしい話を紹介しておきます。
SDJには、3人ほどの社員しかおりませんでしたが、小野さんは時々、『コーヒーでも飲もうか・・・』などと、つぶやくそうです。そんな時、すぐに椅子から立たないと、小野さんが立ち上がって自分でみんなのコーヒーを入れてしまう。だから、社員は何かあったら小野さんが動く前に行動しないとやられてしまう。だから、社員にはすぐに行動すると言う癖がついてしまっているんです、と大野さんが教えてくれました。
ちなみに、小野さんは、アメリカのSMI社から『世界のトップセールス』の表彰を受けたことがあります。大野副社長が尊敬しているわけです。 

DO IT NOW
小野さんが、今出来ることを後のばしにしない人であることは、講話の中でも話しましたが、この点では筋金入りなのです。
『後に延ばしたらね。やるまでいつまでも気にかかったままだし、忘れてしまうことだってある。だいいち、一番早く出来るのは、やることが一番鮮明に浮かんでいる今、がいいんだよ。』、と常に言ってました。
もちろんこれは、今出来ることの話で、ほかのことを優先的にしなければならないときは、それが終わってすぐにということでよいのです。
小野さんは、この信条を三角形のケヤキの木片に刻み込んで手元に置いていました。長さ15センチほどのもので私も一本貰ってきました。
木片の三面には一面づつ、次の言葉が刻まれていました。
DO IT NOW!           いますぐやろう!
DO IT BEST!           ベストをめざして!
DO IT YOURSELF!       自分自身で!    ・・・・・・・・と言う言葉です。
私たちも、この小野さんの信条を自分のものにしたいですね。

SMIとの出会い
MIA研究グループの会議のとき、必ず、オープンリールの分厚いアタックケースほどの録音機をテーブルに置いていたという話をしましたが、そのソニー製のテープレコーダーは、小野さんがアメリカで開催された世界会議に担いでいったものでした。
当時価格も高く、プロ用で、一般の人には手に入らないものでしたが、小野さんは、せっかく海外まで行くのだから、しっかり勉強できなければもったいないと、思い切って買ったと言っていました。
そして、US・JAYCEESの会頭のスピーチの録音を取るために、会場に行って、会頭本人に『録音を取らせてください』、と頼みました。

 
『OK、それなら俺がそのマイクを持ってスピーチをやろう』、とスピーチの間、小野さんのマイクを持ってくれたそうです。
それから、US・JCの会頭と本当に親しい友達になってしまったそうだ。
しかも、そのスピーチの中に出てきた話がなんとも素晴らしいので、『何でこんな素晴らしい話が出来るのか?』、と聞いたところ、アメリカJCの指導力開発のプログラムである「LIAプログラム」の元になったSMIの考え方だ、と教えられたといいます。
このテープレコーダーが、日本JCにもLIAプログラムを導入するきっかけになったし、自分がSMIプログラムに取り組むきっかけともなった、とありがたそうに言っていました。
日本に帰ってきて、SMIを注文しようとしたら、すでに日本にもSDJという会社があって日本語版のSMIを販売していることが分かった。
早速、JCの友人三人でその会社を訪ねてプレゼンテーションを受けた。しかし、一緒に言った二人は、『自己暗示だ』、と言って買うことがなかったが、小野さんは、大金を出してアメリカまで行って得た情報を無駄には出来ないと言って、即座に購入した。
以来、小野さんの短い人生は、人間開発という分野で、日本でも稀有の人として光彩を放った。SMIは、自分の発想の基本を不足なく、しっかりと作り上げてくれた、と回顧している。
小野さんがSMIを手に入れた日、1969年1月17日は、MIAの中の小野さんのイメージチェックの中に書かれている。ぜひ見つけてみてください。
小野さんの記念すべき『革命記念日』である。この日を起点として小野さんはより積極的な人間になった。
われわれにも革命記念日を持つように薦めてくれている。
みなさんにとつては、2001年3月24日が、MIAを学び始めた日、つまり、あなたの『革命記念日』である。そう心に決めてほしい。

IT’S A STATE OF MIND.
もうひとつ、アメリカで情報を仕入れてきた。
それは、新聞に出ていた求職の広告である。自分の売り込み広告であるが、それにはこうあった。
PROFESSIONALISM・・・・・・            プロフェッショナリズムとは・・・・・
MORE THAN TRAYNING.            修練が必要だが、それ以上のもの。 
MORE THAN EDUCATION.          教育を受けたものでなければならないが、それ以上のもの。
M0RE THAN EXPERIENCE.          経験は大切だが、それ以上のもの。 
IT’S A STATE OF MIND.           それは、心の姿勢だ。
さすがアメリカ、こんな自己売り込みの広告を出すやつもいる。
『俺はプロだ。訓練も、教育も、経験だって十分にある。しかし、そんなやつはいくらでもいるが、俺には、もっと大切なプロとしての魂が宿っている。』と言う言葉だろう。小野さんの持ってきた切抜きは、早速MIAプログラムの中に取り入れた。

このように、小野さんの話をしていると、『自分たちにはとても出来ない。もともと小野さんは凄い能力を持った人なんだ』、と言いたくなると思いますが、小野さんに直に接していると、自分にも出来るような気がするから不思議です。

身近に感じられたひと
小野さんは、長野というローカルで、しかも、中小企業の常務、われわれと境遇はほとんど変わらないのです。しかも、自分のやっていることを、『こんな方法でやっているんだよ。』と、全てノウハウを公開してくれるのです。
私の知っている範囲でも、JCのリーダーには優れた能力を持っている人が沢山いましたが、自分の目標として『あの人のようになりたい!』、と誰にでも思われつづけた人は少ないように思います。
講話の中で今、経済担当大臣の麻生太郎先輩の話もしましたが、彼は、あまりにも自分たちと境遇が違いすぎて、誰も麻生太郎のようになりたいと思った人はいません。
つまり、小野さんはわれわれにとって、自分の未来であり目標の人になり得ますが、麻生太郎がどんなに素晴らしくとも、別の世界の人と言う印象をもたれてしまうのです。その点、小野さんほどJCのレベルを上げつづけた人はいないのです。ありがたい人ですね。

さて、今日はこれまで。
つい、小野さんの話になるときりがなく、他人にとっては面白くない話までしてしまうのですが、いかがですか。
正直な感想をお寄せください。
                                
                          2001.4.1       今井清二郎
     [HOME

kurimoto@soeinet.or.jp